№113

霧ヶ峰高原、大鹿村・南信濃の取材旅



7月28日。
未明に発って霧ヶ峰高原へと向かう。まずは朝日が射すと幻想的な雰囲気に包まれる八島湿原に立つ。

この日の朝は霧が濃く、なかなか晴れなかった。
それでも雲間から太陽が顔を出すと、湖面に太陽が映え、辺りはピンク色の世界に変わる。

太陽が現れたのはほんの一瞬…。
八島湿原の朝
霧わく八島湿原の朝


その後、七島八島の湖畔を歩いた。

ひときわ大きな白いミヤマシシウドの花が見ごろを向かえ、
アザミやヨツバヒヨドリも咲き競っていた。

霧ヶ峰の語源となった霧の出現によって、水墨画のような世界が醸し出され、
霧の濃淡を計算しながら、瞬時に構図を決めシャッターを切っては歩いた。


霧に霞む八島湿原
霧に霞む七島八島


南へと車を移動させ、車山肩に車を止める。

ニッコウキスゲの大群落の中を、と書きたいとだが、今夏はほとんど花が見られない。

それでも、シカ避けの微弱電気を通した囲いの中に、黄色の花がわずかばかり、
申し訳なさそうに風に揺れ咲いていた。

遊歩道を300mほど進むと北側にヨツバヒヨドリの群生地が広がり、青空が開け始めた。

ここでは人工物(山小屋)を画面内にほんの少し取り込み、雄大な風景を表現してみた。
ご存知のように、誰でも経験的に人工物の大きさを知っていて、建物を画面内へ小さく配置させることで遠近感や広がり感をイメージさせることが可能なのだ。


青空に雲の湧く霧ヶ峰



ここで伊那市在住のカメラマンAさんに出会う。
Aさんは、デジタルカメラを熟知し、カメラの利点を、うまく作品創りに生かしている。
写真の表現手段をよく理解し、写真というジャンルのあらゆる自己表現に挑戦する作家。

こういう人こそ、誰も見ていないところで研鑽を積む努力家なのでしょう。

さて、続いて車山湿原へ下る。
広い草原のごく一部にシモツケソウが群生する場所があって、まずはそこを目指した。

開花には少し早く、ヨツバヒヨドリが大群落をさらに広げ、見渡す限りのヒヨドリ畑を展開。

綿雲の浮かぶ車山湿原
綿雲の浮かぶ車山湿原


午後は清里高原、野辺山高原、八ヶ岳高原を取材。

テレビドラマ『高原へいらっしゃい』ロケ地の夏季限定営業八ヶ岳高原ヒュッテで、ティーとケーキのセットを注文。
この日のフルーツタルトは運よくアップルパイ、私の好物だった。

すっかり気をよくした私は、千ヶ滝へと向かう。
急な階段を一気に下って滝壺の畔からさまざまなアングルを探った。

水量が少ない滝なので、シャッター速度を低速に設定、見た目よりも水量を多く画面に捉える工夫をしてみた。

千ヶ滝
千ヶ滝



7月29日。
長谷アルプスフォトギャラリーから気の里・分杭峠を通って大鹿村へと南下。

マウンテンバイクの競技大会セレモニーの行われている会場を左に見送り、大河原から青木川を遡る。

この川は、糸魚川・静岡構造線(フォッサマグナ)が貫通する安康露岩で有名な川。
右岸と左岸とでは岩脈がまったく異なる。地質学的に大変興味の持てる川でもある。

フォトジェニックな地点を知っていた私は、茶褐色の岩脈が走る場所に降り、清流をカメラに収めた。


南アルプスの村・大鹿安康地区の青木川
珍しい岩脈が走る青木川の清流


さらに地蔵峠を越え、飯田市南信濃の「しらびそ峠」へと上る。

遠山森林鉄道往年の機関車が展示してあり、在りし日の雄姿を見た。

展望台に登ったけれど、曇り空のため、南アルプスの核心部に座る峰々はすべて雲の中。

この日は、御池山登山を目的としていたので、そちらへ向かう。

御池山は、太古の昔、宇宙からの隕石によってできたクレーターの縁に当たる部分の山。
国内では、唯一、クレーターが視認できる地として、御池山の名が知られている。

クレーターの縁に沿うように稜線が連続し、わずかな登下降を繰り返して40分ほどで、登山口から山頂を踏むことができる。
山頂の200m手前からは、山名の語源となった御池へのコースが分かれる(往復所要時間30分)。

登山口から林の中を登り、最初の高点から緑色の草原の中を歩き、ときどき針葉樹の森に出会うと斜度は増す。
中間点付近の痩せた尾根をクリアーし、さらにクマザサ茂る草原を進んだら岩塔の山頂へと着いた。


御池山遊歩道
コースはほとんどがクマザサ茂る緑色鮮やかな草原を行く


さらに南へと続く稜線を100mほど歩いて、御池山を捉えた。
唯一、緑の草原の先に御池山の岩塔が望める、地点でもある。


御池山の山頂は岩塔
御池山の山頂は草原の上の露岩


歩き足りない私は、分岐から御池を往復した。
クマザサ覆う草原を通って、森の中に佇む御池まで10分ほど下る。

「中郷の御池」と呼ばれ、夏期の旱が続くときは、決まってお水迎(雨乞い行事)が行われたという。
お水迎の後、竹筒に水を汲んで持ち帰って神棚に保存したという。
竹筒の水を帰路にこぼすと、大雨が降り、山が荒れてナギ(崩壊地)ができると、解説プレートに書かれてあった。たとえ一適の水であっても大切にしなさい、という先人の教え、戒めの言葉なのでしょう。




7月も残すところ後一日。

まだ暑い日が続くことが予想されます。
皆様にはどうぞご自愛いただき、この夏を乗り切ってください。

今月もありがとうございました。


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プロフィール

Alps Photo Gallery

Author:Alps Photo Gallery
たくましく生きる者の姿を。
厳かにして優しい大自然の表情を。
山岳写真家津野祐次と長谷アルプスフォトギャラリーのスタッフが綴る信州伊那市長谷にある、長谷アルプスフォトギャラリーの日記です!

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