風景写真家を目指す少年との出会い

伊那市内の中学校に通う2年生のH君が、お父さんと長谷アルプスフォトギャラリーを訪ねてくれました。
眼が澄み切った姿勢のよい少年でした。

7月下旬のとある日、伊那市の中学校の先生からお電話がありました。
2年の生徒に、将来どのような職業に就きたいか?
そのアンケートの結果、風景写真家になりたいという生徒が1人いたと言い、
夏休みの宿題として、それぞれの職業に携わる専門家を訪ね、
質問形式で、その職業について答えてもらい、レポートにまとめるというのです。

その生徒がお訪ねしてもいいですか?という打診のお電話でした。

私は、ギャラリーにいるときならいつでもどうぞ、とお答えしました。
具体的にお会いする日時を取り決めたことはいうまでもありません。

そんな経緯からH君が訪ねてくれたのです。

彼と話すうちに、写真家を目指してひたすら山々を巡った若き日を思い出しました。
多くの失敗と、辛いことが多かったように思う。
けれども熱い希望をもっていたので、へこたれる事はありませんでした。

多くの人に山の大自然の真実の姿を知ってもらいたい、
その一心から重荷を担いで山域内を歩き回ったものです。

冬の山行は想像を絶する厳しいもので、夏なら1日で山頂へ登れる山でも、
平均3日もかかりました。
1㍍50㌢を超える積雪の森の中では、荷を降ろし、ひたすらラッセルを繰り返して
50㍍ほど進んではトレースをつくり、引き返して荷を運んで、また荷を降ろす。
そんな飽くなき進軍を続けたものです。

また夜半のブリザードにテントを潰されたことは一度や二度ではありません。

硬くしまった雪面を登下降する時、靴底にアイゼンを履きますが、それがマイナス40度に気温が下がった雪稜歩きの際、突然折れた時もありました。
進退を断たれ、もうだめかと覚悟したほどでした。

彼はそんな厳しい職業を目指すといいます。

学業を終え、社会人となったとき、彼と接するすべての大人が、彼の夢を壊すような、また大人社会にがっかりするような対応をしないで欲しいと願わずにはいられません。
確かに現実は厳しいものがあります。

けれども次代を担う少年や少女たちに、いつまでも夢と希望を持ち続けて欲しいと思います。

努力を積み重ねれば、何事も叶うとは保障できません。
しかし並外れた努力をしなければ夢は実現できないのも確かでしょう。

中学2年生が、人生の進むべき道をしっかりと描き、それに向かって
いまどうすればよいか、真剣に考える少年がいることを
私は驚きとともに、ご両親の深い愛情と、先生の適切な指導が、
あるべき明日の日本を築いてくれる一歩となることを実感しました。
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Alps Photo Gallery

Author:Alps Photo Gallery
たくましく生きる者の姿を。
厳かにして優しい大自然の表情を。
山岳写真家津野祐次と長谷アルプスフォトギャラリーのスタッフが綴る信州伊那市長谷にある、長谷アルプスフォトギャラリーの日記です!

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