ギャラリー便り№75

柿の実が青空に映える季節となりました




青空に映える柿の実と新雪の峰
青空に映える柿の実と新雪の峰



11月25日(金)

信州の伊那地方、特に駒ヶ根市などの天竜川よりも東側の山間地区に、
柿の木が多く見られます。

この時期、アルプスの頂稜が初冠雪を向かえ、山里に実った赤い柿が澄み切った青空に、
ことのほか映えるようになりました。



柿の実と宝剣岳新雪
柿の実と対峙する新雪の宝剣岳



今日は、柿について触れてみたいと思います。


柿の原産地は中国・韓国・日本で、栽培は中国が最初といわれます。
西暦500年代の書物『斉民要術』にすでに記述がみられます。

中国からは19世紀にヨーロッパへ、日本からは同じくアメリカへ導入されています。

日本には現在1000余種の品種が確認され、その多くは地方の品種です。
多種多様な気候と土壌、地形などの地域差が日本ならではの柿の多種性を育んだのでしょう。

柿はまた果物の中では最も多様な民族を内包しています。
古くから私たちの祖先は柿に関心があり、身近な存在だったに違いありません。

正月には神棚へ干し柿を飾り、鏡餅には必ず添える風習が残っています。

元日の福茶と共に干し柿を食べる地方が多く、供え物、おめでたい日の食料としてなくてはならない果物でした。

小正月1月15日には、例えば和歌山県日高郡の山村では年神様を祀った年棚に供えていた小豆粥を、柿の木にふりかけて唱え、鉈か斧で幹に刻み目をいれる「柿の木祭」の行事が行われます。

また長野県下伊那地方では、同じく1月15日に団子をソヨモの木の枝に多数くっつけ、座敷に飾ります。
これは「柿ならし」と呼ばれ、その年の秋にたくさんの柿の実がなるよう豊穣を願う儀式です。

祖先へ供え物をする盆の行事や、田植え後に、柿はなくてはならない存在でした。
その証明として、葉に供え物を乗せる風習が全国に残っています。

収穫が終わった晩秋、柿の木にわざわざ1つ2つ残す柿を、小守柿といいます。

五穀豊穣に感謝し、来年の収穫を祈る。
鳥や動物にも、わずかな柿を振舞う…。

古来、私たちの祖先は粋な計らいをしていたのでしょう。

自然界の恩恵に感謝しつつ日々の暮らしがあり、
柿や桜やさまざまな木や草花にまで、神聖視する生活体系が構築されていたといえるのではないでしょうか。

今、田んぼの土手などに植樹されている柿の実を収穫する家が少なくなったそうです。
飽食の時代となって、食べ物が何でも手に入るありがたい時代にもなりました。

つい最近、飯田市天竜峡に住む友人が訪ねてくれ、ニコニコ顔で、
『よかったら食べな、今年の実りは少なかったけど、わたしん家はたくさん実ったよ!』
そう言って、袋に入れた甘柿を5個手渡してくれました。
私は友人の暖かい心に感謝しました。

私たちは今一度、自然への畏敬と感謝の心を持ち、
天与の恵みのひとつでもある柿の実、ご家族で味わってみてはいかがでしょう。




しだれ栗森林公園紀行(ギャラリー便り№76)


久しぶりに辰野町にある「しだれ栗」を訪ねました。

国道153号沿線の辰野町小野から東方の山間へ約4㌔入ると、
奇怪な風景が右手前方に見えてきます。

国の天然記念物に指定される「しだれ栗」森林公園です。

山の北側斜面一面に広がる栗林ですが、普通の栗と大きく異なり、
その樹形は、巨大な盆栽とでもいえばよいでしょうか…。

歌舞伎の獅子髪を連想させる枝が無数しだれた栗の木、
これが約1000本、林立しているのです。

初夏の若葉、夏の白い花をまとう姿、冬の白銀覆われる裸木、
そしてこの時期の紅葉に葉色を変えた樹形…。

どれもが心に迫る光景です。



しだれ栗晩秋
燻し銀の古木・しだれ栗



しだれ栗舞踏会
まるで踊っているような青年のしだり栗



若いしだれ栗
若木のしだり栗


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プロフィール

Alps Photo Gallery

Author:Alps Photo Gallery
たくましく生きる者の姿を。
厳かにして優しい大自然の表情を。
山岳写真家津野祐次と長谷アルプスフォトギャラリーのスタッフが綴る信州伊那市長谷にある、長谷アルプスフォトギャラリーの日記です!

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