中央アルプス千畳敷を取材

6月24日~25日「千畳敷写真教室」開催準備のロケハン


雨期のただ中といえるこの時期、新緑前線は日を追って確実に森林限界へ近づいてくる。
中央アルプスの千畳敷は標高2612㍍、樹木が林を形成することのできる限界高度を、森林限界というが、千畳敷はちょうどその高さに位置する。

萌える芽吹きの葉をまとったダケカンバやナナカマドは、積雪10㍍にも及ぶ雪の重さや、雪崩によってまっすぐ上へ伸びることができず、地を這うように変形して育つ。

4・②残雪に映える芽吹くナナカマド
                            残雪の中に芽吹くナナカマド


曇り空の中、登山バスと駒ヶ岳ロープウェイを乗り継いでホテル千畳敷に隣接する千畳敷駅を降りたのは、午前10時20分。

ホテルを外に出ると、残雪は前回訪れたときよりもかなり減っていた。

まず駒ヶ岳神社に参拝、そのまま敷地内を東へと回り、夏の遊歩道を剣ヶ池へと下る。
途中、残雪が道をふさぎ、緑色のロープを外れないように歩いた。

剣ヶ池は、すでに半分ほど雪の中から顔を出し、雪解け水がたっぷり流れていた。
遊歩道は雪が解けたばかりらしく、地表の土は水田のようにグチャグチャ。
それでも固い部分を選んで、それに足を運びながら進んだ。

その先、伊那前岳側は残雪が多く、アイゼンを靴底に装着して歩いた。
もちろんピッケルを右手に持っている。

雪が解けると中御所源流部となる辺りは千畳敷の鞍部に位置し、そこからはダケカンバが疎らに生える斜面を登った。

アイゼンが小気味よく雪面に食いつき、ピッチはことのほかあがった。

ダケカンバは登るほど芽吹きが遠のき、裸木の造形的なフォルムが際立つ。
ナナカマドはすでに緑色の葉をまとっていた。

ときどき霧が中御所の谷から吹き上げてくる。

霧が去ると、上空の雲間からやわらかいスポットライトがゆっくり斜面を舐めた。

さまざまな気象条件を活かしながら作画に集中した。

その後、中御所谷方面へと千畳敷の末端まで下り、さらに200㍍ほど下ると、残雪を押しのけてひょっこり一条の流れが現れた。

流音は凄まじく、ゴォーゴォー音を立てて雪解け水が流れ下っていた。

鋭い残雪の切れ目と、渓流、それにダケカンバの林を遠景に構図を創ってシャッターを切る。

源流と芽吹き始まる中御所渓谷.・4TIF                            残雪に中御所源流と芽吹く樹林帯

           
シャッター速度は、水の流動感を表現するために、手持ちぎりぎりの1/15秒前後を段階的に使うことになる。

足場をしっかり確保し、脇を占め、息を止めて静かにシャッターを切る。

広角レンズをカメラに装着しているので左右、前後にわずか30㌢移動するだけで、構図はがらりと変わる。

慎重に構図を創り、異なる構図の写真を何枚となく作画した。

およそ100カットほど撮影し、雪解けが一番進んだ場所を探して、千畳敷カールでは一番最初に咲く高山植物を捉えた。

ショウジョウバカマとコイワカガミの花、それにコバイケイソウの若芽を狙った。

ショウジョウバカマ



千畳敷駅へ帰り着くころには、宝剣岳の岩峰はすっぽり雲の中に入ってしまっていた。
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Author:Alps Photo Gallery
たくましく生きる者の姿を。
厳かにして優しい大自然の表情を。
山岳写真家津野祐次と長谷アルプスフォトギャラリーのスタッフが綴る信州伊那市長谷にある、長谷アルプスフォトギャラリーの日記です!

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